第13回ソイルストラクチャーコンテスト開催報告

地盤工学会関東支部 会員サービスグループ
学生幹事 井口 昂樹(関東学院大学)
金井 勇介(東京電機大学)
山崎 誓也(東京都市大学)
松田 幸弘(関東学院大学)

 平成30年11月10日(土)に日本大学理工学部船橋キャンパスにおいて「第13回ソイルストラクチャーコンテスト」を開催いたしました。運営の立場で参加した会員サービスグループの学生幹事が報告いたします。
コンテスト題材~ソイルブリッジ~
 今大会では,昨年と同様に,地盤材料を締め固めて作るソイルブリッジを題材としたコンテストが行われました。昨年度ではいかに軽くて強く,設計耐荷重どおりのソイルブリッジを作ることができるかをコンセプトとしてきましたが,今回はいかに薄く,軽く,耐荷重の大きいソイルブリッジを作ることができるかをコンセプトとして行いました。また,100円ショップにて税抜き300円以内で購入した補強材2つ以下をソイルブリッジに使用できる条件も設けられました。
 コンテストの審査項目は,①ソイルブリッジの薄さ(ソイルブリッジ軸方向の三箇所の高さの平均値),②ソイルブリッ値の大きさ(耐荷重/ソイルブリッジの質量で求めた数値が大きいほど,より軽量で高強度なソイルブリッジを表す),③設計のアイデアを含むプレゼンテーションの評価,の3部門です。地盤の配合条件の検討や用いる補強材のアイデア,施工力などが求められるコンテストとなりました。
コンテストの様子
 今大会では,9チーム(学生6チーム,社会人3チーム)の参加によってコンテストが行われました。コンテストの前半は,用意された4種類の地盤材料(関東ローム,珪砂(6号),山砂,鹿沼土)から,ソイルブリッジを作製するために配合を行いました。配合条件や耐荷重を予測するために一軸圧縮試験機の使用が可能でしたが,ほとんどのチームは使用せず,補強材を含めたソイルブリッジを3回の載荷試験の中でいかに薄くできる,多くのチームが悪戦苦闘しているように感じられました。
 コンテストの後半は,どのチームも1本目の反省を活かし,2本目,3本目の作製に取り掛かりました。どのチームも順調に作製が進み,会場は載荷時間ぎりぎりまで木づちで締め固める音が響きました。今回も斬新な補強材を購入したチームが多くみられ,ワイヤーや割りばしなど橋の構造の一部として機能を果たすもの,ストローと輪ゴムを組み合わせて引張強度を増加させる補強材を作製する等,どのチームも真剣に補強材を選定してきたように感じられました。また,惜しくも載荷できませんでしたが,補強材を使わず,極限まで薄く,締め固めのみで薄さ1cm台のソイルブリッジを作製したチームもありました。

写真-1 開会のあいさつ

写真-2 地盤材料の計量

コンテストの結果
 本コンテストは,ソイルブリッジの薄さ,ソイルブリッ値,プレゼンテーションの3部門の得点を競い,総合得点の上位3位までのチームと各部門の1位のチームを表彰しました。昨年度は社会人チームが総合優勝したため,今回は学生チームの奮闘が期待されましたが,今回総合優勝に輝いたのは,持ち前の知識と経験を活かしソイルブリッ値・プレゼンテーションの審査部門で2冠を果たした社会人合同チーム(基礎地盤コンサルタンツ(株),応用地質(株),(株)不動テトラ,(株)アースプライム)でした。総合2位は,チーム全員が3年生,若さと抜群のチームワークで薄さとソイルブリッ値が2位と好成績の関東学院学Aチーム。総合3位は,薄さ部門1位,その他2部門も好成績,青服がトレードマークの東京電機大学チームがそれぞれ受賞されました。また,上位チーム以外にも優秀なアイデアでソイルブリッジの作製に取り組むチームが数多く見られ社会人チーム,学生チームともに切磋琢磨し非常に白熱したコンテストになりました。受賞されたみなさん,おめでとうございます!
最後に
 コンテストに参加してくださった基礎地盤コンサルタンツ(株),応用地質(株),(株)不動テトラ,(株)アースプライム,三信建設工業(株),東京電機大学,東京都市大学,日本大学,山梨大学,関東学院大学の皆様にこの場をお借りして感謝の意を表します。本コンテストは幹事長の峯岸先生,参加者である社会人,大学生,また,多くの方々にお越しいただき,大変盛り上がりました。今回は昨年度と同様にソイルブリッジを題材として取り入れましたが,コンテストを行うにあたって発想力や設計・施工力など,また新たなソイルブリッジの可能性を発見することができました。また,コンテスト終了後の懇親会では学生,社会人の壁を越えた交流もあり,大盛況の結果となりました。来年度もソイルストラクチャーコンテストを開催する予定となっておりますので,より多くの方々のご参加を心よりお待ちしております。

写真-3 ソイルブリッジの作製

写真-4 ソイルブリッジの載荷

写真-5 プレゼンテーション 写真-7 総合優勝 社会人合同チーム
<薄さ部門>
順位 チーム名 薄さ平均(mm) 得点
 1
 東京電機大学  21  40
 2
 関東学院大学A  29  32
 3
 山梨大学  31  26
 4
 関東学院大学B  34  22
 5
 社会人合同チーム  35  18
<ソイルブリッ値部門>
 順位 チーム名 ソイルブリッ値(N/g)   得点
 1
 社会人合同チーム  0.027  40
 2
 関東学院大学A  0.025  32
 3
 山梨大学  0.017  26
 4
 関東学院大学B  0.016  22
 5
 東京電機大学  0.014  18
*ソイルブリッ値(N/g)=耐荷重(N)/ソイルブリッジ質量(g)
<プレゼンテーション>
順位
チーム名
票数
得点
 1
 社会人合同チーム  12  20
 2
 関東学院大学A  11  16
 3
 日本大学  9  13
 4
 関東学院大学A  6  11
 5
 関東学院大学B  5  8
 5
 東京都市大学  5  8
<総合順位>
順位
チーム名
総合点
使用補強材
 1
 社会人合同チーム  78 虫取り網・ワイヤー
 2
 関東学院大学A  75 割り箸・針金
 3
 東京電機大学  74 ワイヤーメッシュ(金属)
 4
 山梨大学  56 蒸し布・割り箸
 5
 関東学院大学B  52 竹串・割り箸